スポーツ傷害 ➄

【足関節捻挫】


足関節捻挫はスポーツ外傷の中で特に多い怪我の一つで、スポーツ選手に限らず
多くの方が経験した事がある怪我ではないでしょうか?


足関節捻挫は再発率が高く、繰り返し受傷しているケースが多く見受けられます。
そこには受傷後の適切な処置や再発防止の為のリハビリを疎かにしたが為に
違和感や痛みがとれない等、選手のパフォーマンスを低下させる結果に繋がってしまいます。


足関節捻挫には内反捻挫(足首を内に捻る)と外反捻挫(足首を外に捻る)があり、
スポーツ現場で発生する足関節捻挫のほとんどが内反捻挫です。


足関節は構造上の特徴から内反に対する制動が弱い為、ジャンプの着地の際や、切り返し動作で
踏み込む足が内反強制されたりと、スポーツで頻繁に見受けられる動作によって
発生する可能性が多くあります


外反捻挫は内反捻挫が足関節を内側に捻るのに対して、外側に捻る事によって受傷する
足関節捻挫ですが、内くるぶし近辺には三角靭帯と呼ばれる頑丈な靭帯がある為、
外反捻挫は内反捻挫より発生頻度は少ないです。


          


捻挫の状態を1度から3度までの三段階に分けます。


・1度(軽度)では腫れや圧痛は軽く、歩くことが可能な場合が多く、関節の不安定性がない状態をいいます。


・2度(中等度)では腫れや圧痛、皮下出血も見られます。
 靭帯の部分断裂による若干の不安定性がある状態で、体重をかけると痛みます。


・3度(重度)では腫れや圧痛が著名で痛みが強く、体重がかけられません。
 靱帯断裂を伴っている為に関節の不安定性も著明にみられます。
 重症になればなるほど腫れや痛みが強く、靱帯断裂以外にも骨折などの合併も疑いますので、
 画像診断が必要な場合があります。


この様に捻挫の状態を把握し、状態に合わせて治癒までのプログラムを組んでいきます。


・急性期
受傷直後から数日は腫れや熱感、痛みも強く、急性の炎症症状が強い状態です
この時期は基本的にRICE処置を積極的にして患部を安静に保ちます。



・亜急性期
幹部の腫れや熱感が治まってくると、少しずつリハビリを行なっていきます。
硬くなっている足首や足趾を動かしたり、タオルを足の指で手繰り寄せる
タオルギャザーを行なったりしていきます。
この時期にしっかりと可動域を回復させることがその後の協議復帰や再発予防に重要です。



・回復期
腫れが完全に引いたら、落ちてしまった筋力を取り戻すためのトレーニングやテーピングなど
関節を保護しながらの運動を実施します。
ランニングなどの直線的な運動から開始し、徐々に横方向への運動を取り入れ、
各スポーツ種目特有の動きを想定したステップ動作などを段階的に進めていきます。


捻挫後の後遺症として起こるのが、足関節の背屈(足首を上に曲げる)制限です。
これは腫れや痛みによって起こる足関節後方の筋肉や軟部組織の拘縮が原因で、背屈制限を放置したままにすると
曲がらない足首をかばった動きになってしまい、つま先が外側に向き、膝が内側に入りやすくなります。
そうすると膝の内側の痛みやアキレス腱炎など他の部位の障害になったり、背屈制限のため前方への荷重が出来ず、
骨盤が後方にいくため腰痛を引き起こしたりと、足関節にとどまらず様々な問題が起こる可能性があるので、
リハビリはとても重要になってきます。



軽度の捻挫と決めつけ、無理をして長引いてしまう事を考えれば、早期の受診・治療・リハビリをしっかりとしましょう!