スポーツ傷害 ④

肘の障害【野球肘】

                                  
野球肘とは、野球の投球動作の繰り返しによって肘関節に生じる障害の総称で
傷害の部位から内側型、外側型、後方型に分類されます。







・内側型野球肘
                                                                       

投球動作では、加速期に腕が前方に振り出される際に肘を外側に広げようとする力が働き、
その後ボールをリリースする際には手首と腕を捻りながら曲げる為、屈筋群の付着部である
上腕骨内側上顆(肘の内側)に牽引力が働き、屈筋群の炎症や骨端核障害などが起こります。


・外側型野球肘


離断性骨軟骨炎というのが正式名称で、小学生高学年から中学生に多く
重度になると上腕骨小頭という肘の外側の骨が軟骨とともにはがれてしまう事があります。
肘関節の運動時痛や可動域制限が主な症状ですが、症状が進行すると
骨片が遊離して関節内を移動する状態になることで関節ねずみとも呼ばれます。
引っ掛かり感やロッキングが起こり、関節内の炎症を起こすこともあります。


・後方型野球肘


肘の後方にある肘頭という部分の成長軟骨が牽引力により損傷される事によって
疲労骨折を起こしたり、成長障害が起こる事があります。
成長終了後には肘頭周囲に骨の出っ張り(骨棘)ができ、関節の動きが悪くなったり
神経障害により痺れや握力が落ちたりすることがあります。


この様に、特に少年の野球における肘の障害は大きな問題であり
野球肘は基本的に肘関節の使い過ぎによるところが大きい為
発生の予防にはストレッチやアイシング投球数の制限がとても重要です。
また、投球フォームにより肘に負担がかかり過ぎるケースも多くありますので、
シャドウピッチングなどフォームの改善なども必要になってきます。





治療においては早期発見が重要であり、野球を含め他のスポーツ競技においても
肘に限らず何処かしら痛みがある場合は我慢をせずに早めの受診→治療する事が復帰への近道です!