スポーツ傷害 ➂

【スキャモンの発育曲線】





子供の体の成長を表したもので、体全体が均一に成長するのではなく、年代によって成長する部分に差があることを意味し、
成長期における体力向上には適齢期というものがあります。


小学生の時期には神経の発達が最も盛んであると言われています。
スポーツ全般に共通する基礎的な身体能力で、転んだ時の身のこなし方やバランス感覚などがこれに当たります。
この時期には色々なスポーツをさせる事が望ましいのです。


中学生期には呼吸・循環器能力の発達が優れていると言われます。
この時期には持久力を主眼においてのトレーニングが最適です。


高校生期になると筋肉の発達が有利になります。
この時期には筋トレを含む、パワーをつけるトレーニングが有利です。


ではこれらの時期を無視して、一生懸命に筋トレをしたらどうなるでしょうか?
もちろん全く無駄ではありませんが効率が悪くなります。
同じトレーニングをやっても、高校生期にする方が効果が出やすいのです。
その為、同じ効果を出すためにどうしても負荷が大きくなりがちになってしまいます。
これが障害を作り出すもとでもあります。


小中学生期には、骨格にも力学的負荷に弱い軟骨が多く含まれています。
負荷が大きすぎると軟骨を傷めて成長に障害が出たり、関節の障害を残す事があります。
レーニングが無効というわけではありませんが無理は禁物です。


また、成長期には骨の伸びるスピードが速いですが筋肉はそう簡単に伸びてくれません。
その為、筋肉が硬くなりやすくなる時期なので体が硬い状態になります。
筋肉の柔軟性が少ないと骨や関節に負担がかかりやすくなるために結果的に傷害が起こりやすくなるのです。


成人では筋肉が骨にくっつく部分の付着部炎という事が多いですが、子供の場合はこの付着部が軟骨の事がよくありますので、
軟骨障害とか骨化障害という形で障害が出てきます。
代表的なものは上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎やオスグット病などがあります。
痛みを我慢したり無理をし過ぎたりすると軟骨障害は永続する事がある為、成長期には特にストレッチを重点的に行い、
個々の柔軟性を普段からチェックする事が大事です。


競技復帰の時期は傷害の程度や状態などによって違いますので一概には言えませんが、必要以上の安静は良くないです。
そして、皆が障害について理解し、協力し合うことがスポーツ障害の治療の第一歩であり早期復帰への近道でもあります。
早期発見、早期治療だけでなく健康的にスポーツを楽しむことに繋がっていくと思います。